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〔008〕茶封筒
 
 
  それを渡される時、僕は無感情になる。
 意識してやっているわけではない。だから、正確には、無感情とは言わないのかもしれない。
 何処か冷めたような、ただ納得するような。
 そんな、感慨も何もない感情。

 興味関心も、最初の頃はあったけれど、今ではそれがどういう感情だったかも、あまり覚えてはいない。
 終われば忘れることだから。
 いちいち覚えていることなんて、膨大すぎて、やっていられないから。



 ただ、渡された封筒が、いつもより薄いと面倒かなとか、分厚いと厄介ごとかなとか。
 思うことはそれぐらいで。
 ”仕事”内容が書かれた書類が入った茶封筒を、つまらないものとしか思えなくなってしまったのは、何時からだろうか。

 最初の頃は、本当に最初の頃は、緊張していた。
 渡される”仕事”は自分の評価で。
 どう見られているか、いつも気にしていた。


 この緊張感を、何時失くしてしまったんだろうか。
 
 

 ただ、こなして。
 失敗したら、それで終わり。
 
 廃棄処分。







「無限城」より。
2011年3月22日(火)AM0:35
 
 

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