空は自由な世界。
 束縛も無く、広々とした世界。
 条件はただ一つ。羽を持つこと。
 「空」は、羽を持った種族だけの世界なんだ。
 
 僕は、自由になりたかった。
 
 
 大地に縛られ、束縛された人生なんて嫌だった。
 だから僕は、旅に出たんだ。
 
 
 
 
 
 
 
 私は初めて、私以外の種族と出会った。
 私は疲れていた。
 空は自由で。
 自由に羽ばけて、自由に、好きなところへいけて。
 自由に、自由に・・・。誰もが羨む自由しかなくて。
 自由って、なんなんだろうか。ずっと考えてきた。
 それしか、考えることも無く。
 それしか、気分を紛らわせれる事も無く。
 いつか来る永久の眠りを、どんなに望んでいたことだろうか。
 どんなに、地上に憧れたことか。
 
 しかし、地上に降り立つこと禁じられていた。
 生まれながらに知っている、本能、とでも言うべきものか。
 地上には、恐ろしい種族がいて、見つかれば、囚われてしまう。
 囚われて、彼等の利益だけのために、使われてしまう。
 そして、二度と自由を手に入れることは出来なくなる。
 地上について知っていたことは、恐怖だけだった。
 
 
 自由であった。
 空は青く透き通っていて、これが綺麗なものなんだ、と知っていた。
 そこに住む“わたし”は幸福で。
 自由を手にしている“わたし”たちがそれ以上を望んではいけないんだと、何かに教えられた。
 けれど、苦しかった。
 
 何時からは、“わたし”は一人になる。
 一人でいる方が、とても楽だったから。
 一人でいれば、孤独を感じずにすむ。
 一人でいれば・・・・、誰かが自由だと喜び、歌い、歓喜の声を聞く事もない。
 それでよかった。
 
 
 
 いつからか。
 思うようになった。
 決意した。
 
 地上に行こう。
 “わたし”は禁忌を犯してでも。
 
 地上へ。
 自由を捨てて。
 束縛というものを味わってみよう。
 そうすれば、何が自由なのか知る事が出来るのだから。
 
 
 
 そうして。
 何度か試した。
 しかし、地上に足を触れることは出来なかった。
 そこには、
 そこには恐怖があった。
 
 
 
 そんな時だった。
 “ぼく”と出会ったのは。
 “ぼく”は“わたし”を地上に招いてくれた。
 “ぼく”は“わたし”から自由を奪い、束縛を与えてくれた。
 
 “わたし”は知る。
 束縛あっての自由こそ、幸福なんだ、と。
 
 
 
 
 
 
 
 僕は、君と出会った。
 君は、僕に空を教えてくれた。
 空の苦しみ。不自由さを。
 空に住む君は、僕に、生きる目的を与えてくれたんだよ。
 
 僕はまだ、旅を続けている。
 帰りたいとは思わない。
 僕はただ、君と一緒にいたい。
 旅の趣旨が変わってしまったけれど、僕は、旅をしていたい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   END
 
 
 
 
 「旅」の続編です。
 難しいです。
 ・・・・・・。ウル様? 如何でしょうか?!
 これは“800HITS”をお踏みになられ、キリリクしてくださったウル様のみお持ち帰りOKです♪