【2】残酷な言葉
 
『死んでよ』
その言葉に感情は込められて無くて、無感情に、無機質に、ただ、言わされただけだと言う感じで。
だから本心では無いと、そう考える。
そう感じた。
感じたかった。けれど
けれど、その言葉を発した唇は、言葉どおりになる事を望んでいるようにほほ笑む。
目は優しげに愛しいそうにこちらを見ていた。

『なん、で』

訳が分からなくて、返せた言葉は動揺丸出しでかっこ悪い。
何処かでそんな事を感じていた。
『死んでよ』
繰り返された言葉。
こちらの動揺が楽しくてしかたないと言いたげに、飽きれたように、続けて、
『邪魔だから』
当たり前のように、言われた。クスクスと、無邪気に笑いながら。

『リオ・・・ン』




 
 

キョロキョロと辺りを見回すから、人込みの中でも随分目立っていて。
見ていて面白かった。
初めて会った頃から変わらず方向感覚悪くって。
僕よりも背が高くて年上ぶってて、何処か抜けてる。
これから最悪なことをしようとしているのに、笑ってしまった。

どうして、関わってしまったのだろう。
 
 
不思議。
最初に思ったのはそれ。
変な奴。
次にはそう感じて。
 
だって、自由とは何か、って。真剣に悩むんだもん。
ギルディは。
これがこの方向音痴の名前。
結局、「風」が自由とか言ってたな。
 
 
ギルディに対してこんな感情を抱くと知っていたなら、知りたくは無かった。
関わりたくは無かった。
 








敵同士、だから。
親しい者が、手を下さなければならないのに。
誰かが。
誰かが、絶対に。




ならば、・・・。

誰かが殺さなければならないと言うならば、いっそうこの手で。君の命を喰らってあげるよ。
完成する前に。定着する前に。

僕が君を殺してあげるよ。

君に永遠なんて似合わない。
 
 
 
 
最後に発した君の声。
僕の名前。
それが、何時までも耳に残っていた。
 
 
 【3】鎮魂歌