〔006〕別れ
 
 
 今日、梨華子は泣いていた。

 彼女が去った後、彼女は何年ぶりにか泣いた。再会するまではとても笑顔だったのに。楽しみにしていたから。その分、とても悲しかった。

 何でそうなるのかは分からなかったけれど。
 
 彼女、椎菜と再会の約束をしていた。

 椎菜と別れて、2年が過ぎていた。

 私には彼氏が出来た。彼女にも出来たという。なんだか似たような人らしい。

 特徴を聴いた時、久しぶりに学生時代のことを思い出した。


 そして、久しぶりに会うことになったのだ。
 私たちは、高校の寮で同室だった時期があった。それで、親友になった。
 
 椎名は今、大学院で勉強しているという。私には勉強に対する熱意はそこまで無い。高校が一緒だったのも奇跡的なのだ。

 私が可笑しいというよりも、椎菜の頭でよく此処にこれたと、変な意味で感心した。
だって、良すぎたんだから。

 此処に来るはずの無い成績で入学。歴代トップで卒業。今でも、よく、趣味があったと感心してしまう。

 ま、頭がいい奴とは気が合わないってこっちが先入観持ってたのもたしかだけど。

 椎菜は何においても凄かった。
 
 一年の時から既にうわさの人物だった。同級生どころか、先輩たちですら呼び捨てに出来ないほどの。
 
ただ、これは後で気づいたことだけれど、そのころの椎菜は何だか寂しそうだった。友達がいなかったからだろうか。
 
 この高校は全寮制で、学年が上がるたびに寮室割りも変更される制度だった。そして、何かの間違えかのように、同室になってしまった。
 周りは羨んだが、はっきり言って、こっちはいい迷惑だ。だって、下から数えたほうがいい成績のやつと、学年トップの成績の差。話題が合うわけでもない。

 そう思っていた。憂鬱な一年になると。
 
 しかし、違った。

 彼女は笑いもすれば泣きもして怒ったりもした。私と同じなんだと感じることが良くあったのだ。
こんな言い方は可笑しいかもしれないけど、今まで雲の上の人だったから、新鮮だった。

 私の方だけが感化されていたわけではなかったようだけど。

 変な話、私の成績も上がっていった。
 
 椎菜はこの高校にいること自体が可笑しくて、他は普通の女の子だった。

 普通とは言わないかもしれない。だって、いつもボーとしていて、ドジばっかりしているんだもの。
 
 
 
 彼女から、絶交が告げられたのは、唐突だった。
 理由はいわなかったけど、どちらが悪いのではないと言った。
 ただ、親友としていることが、辛いといわれた。
 
 椎菜にとって私とは何だったのか。
 
 



[025]へ続く










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