【9】壊れた時計
何かが壊れて。
壊れて。
その大切さに気が付いた。
違うかな?
壊れきって。
既に壊れかけていたことに気が付いたんだ。
僕は、如何して、此処にいるのかな?
同じ世界を生きながら、違う時を刻む。
どうしてだろう?
どんな危険を冒しても、理由は分からなかった。
けれど、存在の意味は分かった。
と、思う。
僕がギルディを殺すことは必然だった。
僕は運命に抵抗することが出来なかったんだ。
抵抗する気も、その時はなかったけどね。
彼は補佐の候補。
“滅び”を制御する存在になったかもしれないってこと。
僕は狂わす者。
“滅び”を促す存在、の候補なのかな?
他に促す候補がいるっぽいんだけど、よく分からないや。
“壊れた時計”って動かないのかな?
遅いのか早いのかってことかな。まだまだ調べが足りないね。
でも、もう、此処にいるわけにはいられない。
だって、ばれちゃったから。
報告される前に消したけど、理解者だったあの人は、自分の後始末がちゃんと出来るようにしているだろうし。
さて、何処に行こうかな。
ギルディを拾った施設にでも、行ってみようかな。
風の停滞する場所。
望まれない子どもたちが暮らす土地に。
【10】約束の場所